西洋の「アスベスト」と日本の「石綿」の違いは呼び名の違い

古い物流施設の建築資材として使用されていたアスベストによる問題で、急遽取り壊しとなって建て替えられたという話は、もう20年近く前からよく耳にするようになりました。
物流施設で働く人達にとっては冷暖房完備の職場となる画期的な朗報でしたが、バブル崩壊後の収益難にあえぐ企業にとっては大いなる負担でもありました。

ところで、この「アスベスト」は最初に情報番組の解説では、学校の理科の時間に使うアルコールランプの炎を受けていた網についている「石綿(いしわた)」という素材と同一の物であるという説明がされていましたが、本当のところどう違うのでしょうか。

「アスベスト」と「石綿」の違いは呼び名の違い

「石綿」と「アスベスト」の違いは、名称の違いであり、どちらも天然のケイ酸塩を主成分とする繊維状の鉱物(蛇紋石や角閃石)から採取される物質の総称、石綿は日本語、アスベストは、オランダ語(asbest)という違いです。

アスベスト=石綿の歴史や逸話

アスベストの歴史は古く、語源はギリシア語まで遡ることができます。
古代エジプトではミイラを包む布として使用され、古代ローマではランプの芯として使用されていました。
マルコポーロの「東方見聞録」には、火に焼けないサラマンダーの皮が鉱物であるという記述があるため、1270年代後半頃にはアスベストの存在は明確であったことが分かります。
古い時代の中国の火浣布(かかんぷ)や、日本の竹取物語にも火鼠の皮衣という逸話でその実在がうかがわれます。
日本の公式な記録としての石綿は、1764年に平賀源内が秩父山中で発見し、布にして幕府に献上したことが記録に残っています。